―――それから先は、あんまりよく覚えていない。 昴さんに全身愛されたこと。 裸で抱き合うととろけそうになること。 初めての時は痛かったけど、それ以上に昴さんが愛しくなったこと。 「詩穂、…好きだ、詩穂―――」 最後の一瞬までキスを続けながら、昴さんはそう囁く。 私たちは、一晩中裸で抱き合った。 ―――カーテンを閉める余裕もなかったために、窓の外にはぽっかりと月が浮かんでいる。 その月だけが、私たちを照らしていた。