そう言って、私をじっと見つめる静香。
そのまなざしは、まるで私の次の言葉を待つようだった。


私は、ゆっくりと静香の目を見た。



「………ごめんね。静香、私」


頑張る。


その一言の代わりに、私はなんとか笑ってみせた。
すると、静香もつられて笑う。



「そうそう!さ、戻ろう?」


そう言うと立ち上がり、私たちは営業部に戻った。


―――当たり前だけど、社内では昴さんとは仕事の話ししかしていない。
当然呼び方も“課長”のまま。


そう呼ぶことが、なんだか二人の距離を遠ざけているような気がした。