「……旭って、やっぱりそっちの人間なのかな」


誰かがボソリと呟いた言葉すらも、今の旭には届いていなかった。

現在進行形で旭にはありもしない噂が1人歩きをしていたのだ。

旭には片思いの相手がいて、その相手が1つ上の同じ霊能力者らしいと言う噂が。

大した事のない、どこにでもありふれた噂……では終わらなかった。

その想っている相手が男らしいと言うから、どんな噂よりも記憶に残りやすい物であっえた。

当の本人である旭も、噂を知っているし否定はしているが……。

否定すればするほど余計に信じてもらえない事を本人は知らない。