…ー5年前ー…
遥 小学6年の秋…
秋がいない日々にも少し慣れだしていた頃、
遥の里親が決まった。
みんなに激励され、
やっとこの辛い生活から抜け出せる、
遥は心の底から喜びを噛みしめていた。
そして、施設を出る前日…
遥は、中年夫婦のいる部屋に挨拶をしに行った。
辛い仕打ちを受けたけど、
とりあえずこれまで生活をさせてくれた所だ。
お礼の一言を言うのが、
暗黙の決まりになっていた。
…いつかの日、
私の一つ上のマヤちゃんがここを出てく時も、
ちょうどタイミングよく見かけたんだっけ。
…ふと その時の事を思い出す。
