じゃあ、お願い。私は何時間でも何日でも、あなた達の気がすむまで人質になるわ。でも、亮だけは解放して、この子には、おなかいっぱいごはん食べさせてやりたいし、オムツだってずっと替えてやってないの。お願い…お願い。



それはできません。
それではアレを無くす事ができないから…



もう少し我慢して下さい。すいません。

ヒロトは私達に頭を下げた


亮がぐずりだす。
いつもなら、もう寝る頃の時間…私は亮を抱っこし、体を揺らす。
オムツがとても重く、いつもの亮より、ずっしり重く感じた。



早く…早く解放されたい…
心の中で私は叫んだ。


それから、どれくらいの時間がたっただろう。
いつのまにか誰も言葉を発しなくなり、気がつけば、みんな寝ていた。私も一瞬寝ていた気がしたけど、何があるかわからないし、眠い目を必死に開けていた。
どこからか逃げる事だって…と思ったが小さい明かりの下でヒロトが一人パソコンを見ていた。

この子が寝るわけがないわね。そう思った。



パソコンから放たれている光の中で見えたヒロトの表情は、淋しそうな辛そうな、なんとも言えない顔だった。