食べられたい!



―――少し前に、
チヌの稚魚の放流のイベントがあった。

あいつはきっと、
あの時に俺が放したヤツだったんだ。


きっと数年後には
立派に成長した彼?彼女?が
また会いにくるんだろう。

その時は約束したとおり、
ちゃんと食べてやろうと思う。

それを相手は望んでいるから。


それから、
あいつが人間だったらよかったのにと、
ちょっとだけ思った。


だって、誰だって
手足の生えた魚に告白されたら驚くだろう。




……魚に手足?


もしかすると数年後には、
立派な人間に成長して
会いに来るかもしれないな。


その時は、約束を破っても
いいかもしれない。

性別はやっぱり、
どっちだかわからないけれど。