「きよ、どないしたん?こんなとこで何しとん?」
「ちょっと散歩。陽太こそ、そんな薄着でどうしたの?」


 雪の布団から起き上がって、私が被った雪を払ってくれる。陽太はいつだって、どんな時だって優しいのだ。


「雪合戦しよ思っててんけど、一人じゃでけへんかってん」


 膝立ちしてる私を一度だけ見上げた後、直ぐに目を逸らした陽太は、困ったような寂しいような笑顔でそう零した。

 雪の上に座りこんだままの陽太の頭と、肩やら服やらについた雪を払ってやる。


「じゃあ、一緒にやろうよ」
「ほんま?ええの?」
「うん。だけど、そんな薄着じゃダメだよ。風邪引くでしょ。」