もう10分程度にはなるだろうか。陽太は窓の外へその優しい色の瞳を向けたまま、冒頭の言葉をひたすら繰り返していた。

 そして私も、そんな彼の綺麗な横顔をずっと見続けているのだ。

 陽太は所謂美少年というやつだった。睫毛が長く鼻が高い。唇は薄く、笑ったときに歪みなく吊り上がる口角。夏こそは焼けていた肌も今では雪のように透き通っていた。染めてしまったせいで痛んだ彼の髪は、以前よりもキシキシとしてはいるけれど、相変わらず自由に跳ねている。


「っ……?」
「あ、ごめん」


 その触り心地が好きで、ついつい手を伸ばしてしまうのだ。その無意識の行いが、いつも彼を苦しめる。

 今回も例外ではなかった。