俺は両足に能力を使い、その場を離れた。

この『炎』は調査した範囲を大きく上回った。

半径100メートルだろう。

今までは『炎』を制御できる範囲内での攻撃だった。

しかし、今回はジョーカー自身が自ら制御を止めたためだ。

制御を出来ない『炎』は対象を問わずに燃え尽くす。

俺が逃げ終えた後に、ジョーカーの方を見ると、周辺は火の海となっている。

五十嵐の事務所には『障壁』能力者2人が皆を囲み、『炎』から逃げたようだ。
だが、もう限界だ。




『障壁』能力者は護衛の仕事をする。
それはこの世界で才能を中心とした世界で職を見つける時、その能力を最大限に活かせるからだ。
俺も隠密部隊として戦ったことがある。
そのため、対処法も熟知している。『障壁』能力者は万能ではない。
粒子の壁を作ることで一種の密閉空間を作る。
その際、空気中に含む酸素も『障壁』内にある量しか供給できない。
つまり、密閉空間は有限とされる。
それに今の攻撃で『障壁』能力を使ったのだ。
もし、次にジョーカーが攻撃した時、『障壁』は破られる。




俺は膝をついた。
俺の『衝撃』能力も万能ではない。
移動するために両足を今まで以上に酷使した。
足で地面を『吹っ飛ばす』ときの反動を活かした移動法は他者から見れば跳躍に見えるだろう。
しかし、その反動は両足に負担が大きい。
『炎』から逃げるために何度も跳躍をしたのだ。
これ以上の跳躍は人体に影響を及ぼす。