ジョーカーは右手を俺の方に構えた。

奴の右手を見ると粒子が集まり始めた。

今度は投げる動作がない。

きっと火炎放射のように能力を使うだろう。

俺は右足の能力を使う準備をして、左側に避けるように意識した。

粒子がある程度集まると、何の動作もなく俺の方に向かって『炎』を放った。

予想通り、火炎放射のような攻撃だった。

俺は『衝撃』能力で地面を右足で地面を蹴り、その反動で俺自身を吹き飛ばした。

瞬間的に5mほど左側に移動した。

ジョーカーは俺の場所を確認すると、追い掛けるように右手を俺の方に向けた。

『炎』が近づくたびに同じ動作をした。

しばらくすると、『炎』は消えた。

その間は10秒ほどだ。

粒子を集め、『炎』に変換できる量は能力値によって異なる。

これだけの威力と距離を続けて行うのには限界がある。

この攻撃でジョーカーの能力値はある適度予測できた。

能力値は40~50だろう。

最大出力放射範囲は半径20メートル前後




ジョーカーは通信機を取りだした。


「ジョーカーだ。
五十嵐の秘書『相澤ヒサノリ』に関する情報をよこせ」


俺はジョーカーが連絡を取る姿を見て、奴の目の前まで移動した。

ジョーカーの身体は『炎』に包まれている。

俺は能力をナイフに使い、ジョーカーを斬り付けようとした。

『炎』があるため、直接攻撃はできない。

そのため、ジョーカーにとっては無意味な攻撃に思えるだろう。

だが、ナイフを振り終わると同時に、鋭い風がジョーカーに向かった。

その風は『炎』を斬り、ジョーカーの上半身を斬った。

見た目から、傷は浅いだろう。『炎』で威力が半減したからだ。

ジョーカーは炎の壁を作り、姿を隠した。