外には4人の護衛がいた。

2人は先程『能力』で飛ばした護衛の人達、もう2人は『障壁』能力者達だ。


「どけ」


俺は道に立っている『障壁』能力者達に言った。

先程の光景で理解したのだろう。

すぐに道を開けた。

彼らの横を通り抜けると、目の前にいるのはジョーカーだけだ。


「勇敢だね―――
わざわざ殺されに来るなんて」


ジョーカーは身体全体を炎で包んだ状態を保っている。

これまで集めた情報から奴の能力は『空間系』の『炎』タイプだろう。

触れれば燃える。

また、火炎放射のように『炎』を扱うことが出来る。


「まぁ―――………死ね」


ジョーカーは笑いながら、右手に炎の球を作り、俺に向かって投げた。

俺は左手で何もない空間を殴った。

俺に触れた空気は『衝撃』能力で強化され、ジョーカーの放った炎の球を弾くだけでなく、向かう方向が逆になった。

炎の球はジョーカーの方へ向かい、当たった。

だが、ジョーカーの能力で作ったものだ。

効くはずがない。

ジョーカーは笑うのを止めるのと同時に身体を包む炎が今まで以上に激しくなった。


「お前、何者だ」


ジョーカーは俺に尋ねた。


「さあな」


俺はポケットから隠し持っていたナイフを右手に持ち、構えた。