ジョーカーの連絡で目的の『ホーク』が来ていることを確認した。

だが、予想とは違った出会いだった。

隠密部隊は姿を隠して行動する。

だが、ジョーカーは堂々と姿を現した。

これまでの行動から五十嵐の暗殺のためなら、辺り一帯を燃え尽くすつもりだろう。




ジョーカーは右手に『炎』を灯した。

その『炎』を事務所に投げつけた。


「後衛部隊」


警察官のリーダーの指示で2人の護衛が事務所の壁となった。

『炎』は男達に当たる寸前で止まった。

『空間系』の『障壁』能力だろう。

止まった『炎』はやがて消えた。

彼らのおかげで事務所には火が付かなかった。


「ハーハハハ、いいね。
実にいい。久しぶりの仕事だ。
俺を楽しませろよ」


ジョーカーは再び『炎』を作り、事務所目掛けて放った。

今度の攻撃は火炎放射のような攻撃だ。

護衛は『障壁』で事務所を守っている。


「さっさと出てこいよ。五十嵐さんよ―――」


ジョーカーは右手を少し上に上げた。


「しまった」


リーダーはビルを見上げている。

彼の様子から『障壁』で防げなかった部分に火が付いたのだろう。

ジョーカーは『炎』を放つことを止めた。

奴は分かっているのだろう。

五十嵐がビルの外に出なければ焼け死ぬことを………

そして、出れば殺すことを………

警察の様子から、彼らは理解しているのだろう。

例え、全員でジョーカーに挑んだとして、勝てる見込みが少ないことを………

リーダーはジョーカーとビルを交互に見ている。

仲間に連絡が取れない状態で、この状況をどう回避するべきなのかを模索しているのだろう。