俺の能力は『衝撃』だ。

『肉体強化系』と『空間系』の中間に属する能力だ。

打撃が強くなるわけではなく、身体の一部が標的に当たるときの勢いを増幅させる。

つまり、能力に触れたものは何でも『吹っ飛ぶ』ことになる。

能力の制御次第では空気だって吹き飛ばせる。

殺傷能力は無い。

だが、使用者が能力を有効に使えば………


「しまった………」


俺はパンサーを殺す気はなかった。

警察に奴を引き渡すつもりだったのに………

突然、五十嵐の部屋が開いた。


「なんだこれは………」


五十嵐は大声で尋ねた。

俺が能力を使ったことで部屋は滅茶苦茶だ。


「大丈夫です。今、警察を呼びます」


俺は五十嵐をこれ以上、勝手な行動をさせたくなかった。

隠密部隊の接近タイプであるパンサーが倒されたことで遠距離タイプは次の手を打つ。

俺は五十嵐を洗面所に移動させた。

窓から遠く、入口から近い場所。それが洗面所だ。

俺は通信機で警察に事情を説明し、警察を呼んだ。

五十嵐は興奮している。

無理もない話だ。
一般人にとってこの状況化で冷静になるなど難しい話だ。


「慌てないでください。
先生は私が守ります」


今の五十嵐にとって頼れるのは俺しかいない。

五十嵐は俺にしがみ付きながら、頷いた。

俺はそんな五十嵐を見ながら考えていた。


『さっさと来いよ。ホーク』