―――三日後の深夜
俺は自宅で『Infinite Information』をプレイしながら、『G』議長隠密部隊の襲撃に備えていた。

早川が『G』本部に連絡して、議長に五十嵐の危険性を伝えれば、そろそろ来るころだろう。

隣の部屋にいる五十嵐はそんなことも知らずに寝ている。

俺が五十嵐と共同生活をしているのは、隠密部隊からの対策のためだ。

日常生活で一緒に暮らすことで、俺が自宅にいることを五十嵐は当り前だと認識させる。

『G』にとっても同じことだ。

まさか、このために共同生活を共にしているなど、誰も気づかないだろう。

リビングに置かれた時計を見ると、深夜2時になっている。

俺はPCを閉じた。

部屋の構造と五十嵐のいる場所、ほかのマンションの配置………

全てを計算した結果、遠距離タイプの狙撃よりも接近タイプの方が成功率は高い。

それは長年の経験から言えることだ。

俺は洗面所に向かい、玄関が開くのを待った。


「………さっさと来いよ」


俺は用意した花瓶を持ちながら、来るのを待った。


―――15分後
玄関で爆発音が辺りに響いた。

そして、静かに扉が開く音が聞こえる。

来たか………

予想通りに隠密部隊が来た。


「パンサーよりイーグルへ。標的の自宅に潜入した」


相変わらず、連絡方法は変わっていない。

隠密部隊は必ず、相棒に連絡を入れるときに名前を言う。

これは相棒の姿が見えない状態では相棒本人が通信しているかどうかがわからないためだ。

また、誰が通信しているのかを教えるためでもある。

隠密部隊の話から、遠距離タイプの担当者は『イーグル』か………

懐かしい名前が聞けて嬉しい限りだ。

だが、奴には用がない。


「………ハズレか」


俺は小声で独り言を言った。

パンサーは何の迷いもなく、五十嵐のいる部屋に向かった。

隠密部隊は事前にマンションの構造と標的居場所を調べている。

それは効率よく、仕事をこなすためだ。