―――数時間後
俺が車内で睡眠を取っていると、五十嵐が戻ってきた。

肩を叩かれ、起こされた。


「ヒサ君」


俺は叩かれる方を見ると五十嵐が隣に座っていた。


「出してくれ」


五十嵐は運転手に車を出すように指示を出した。

しばらく、俺は車の外を眺めていた。

すると、五十嵐が俺に話しかけて来た。


「先程の面談で、ヒサ君の提案通りに意志表示をしてきた」


五十嵐は浮かない顔で話した。


「そうですか。
早川さんはなんて仰ってましたか」


俺は興味のない素振りで聞いた。


「私の話を聞いてくれた。
だが、途中から否定され続けたよ」

「否定………ですか」

「ふん―――………
早川さんは『能力開発』に対する意識が足りないようだ」

「気にしないでください。
考えは人それぞれです。
早川さんが否定しても、先生の支援者や無能者の方々は必ず先生を支持します」


五十嵐は少し顔がほぐれた。


「これからですよ。
今はまだ、否定され続けても、いずれ早川さんも先生の意見を受け入れる時が来ます。
それまでの辛抱です」

「そうだな」


話を終ると、五十嵐は外を眺め始めた。

俺は目を瞑った。