「そういうお前もしゃべりすぎだ。
自分から居場所を教えるなんてな」


俺はマンションの狙撃からダックの居場所を知った。

その後、屋上に着いてからダックがその場にいるのかを確認した。

狙撃の正確性と声のする場所から、計算してある程度、屋上の光景を想像できた。


「俺の能力は『回復系』でね。
これぐらいの怪我は『自己再生』できる」


俺は能力を使い、傷を治した。

だが、左腹は止血程度に抑えた。

身体に入った銃弾を後から取り除くためだ。


「そんな糞な能力で倒されるなんて………」

「それは弱者の考えだ。
俺にとって能力なんてオプションの一つにすぎない」


この考えは長年の経験で知ったことだ。

生まれ変わるたびに、能力が違うため、便利な能力もあれば、役に立たない能力もあるからだ。

「これから私をどうする気………」

「お前らが俺を標的にしたってことは、俺はもう『G』に入れないんだろ」

「そうね。
議長が判断したんだから」


やはり、議長の指示だった。

つまり、俺の考えは当たっていたのだろう。

議長は『世界の出方』を隠すつもりだ。


「ところで、ダックは『世界の出方』を知ってるか」

「そんなのないわよ」

「なら、この世界を出ようと思ったことは………」

「馬鹿言わないでよ。
あるわけないでしょ」

「仮にだ………
もし、ダックがこの世界を出ようとしたとき、どうする」


俺はダックに問いかけた。


「言っている意味が分からないわね」

「そうか」


俺は銃の引き金を引いた。

ダックの叫び声が周囲に響いた。

三発目を撃ち終わると、ダックは動かなくなった。

最後にダックの頭に銃口を向け、撃った。