俺がそう思ったのはただの勘だった。

何かしらの経緯で『Infinite Information』が世界に悪影響を与える物だと認識したのだろう。

それが原因でこの西条は俺達に拉致されたのだ。


「ウルフさん。
そろそろ目的地に着きます」


相棒が俺に報告した。


「ああ」


俺は相棒に答えた後、降りる準備をした。


「あの………
僕はこれからどうなるの」


西条は尋ねて来た。


「………」


俺は答えなかった。




―――空港入り口前

相棒は車を止めた。

入口前には数人の男達がいる。

相棒が運転席から降りた後、男達と話をした。

俺はその光景を見ていた。

しばらくして、相棒が俺に合図を出した。

俺は車から降りた。

その後、西条を外に出した。


「ご苦労だった。任務を引き継ごう」


男の一人が言った。


「その前に一つ聞いてもいいか」


俺は男に話しかけた。


「なんだ」

「西条はこれからどうなるんだ」

「それを君に答える必要がない」


男は任務以外のことはしないのだろう。

まるで昔の俺を見ているようだ。


「わかった」


俺は男に西条を渡した。


「確かに受け取った」


男は西条の腕を掴んだ。

西条は震えていた。

さっきまで陽気な表情だったのに、今は怯えた顔になっている。

きっとまで、拉致はただの冗談だと思っていたのかもしれない。

だが、目的地に着いて、目の前にいる男達が自分を引き取ると知った時、本当の事なのだと理解したのかもしれない。


「それじゃあな」


俺は奴に別れを言った。


「待ってくれ」


西条は俺達を引き止めようとした。

俺と相棒は車に戻り、その場を離れた。