その間に相棒に連絡を入れた。


「ウルフよりイーグルへ。標的を捕獲した」

『………了解』


西条がうつ伏せになると、持ってきたリュックから紐を取り出し、両腕を縛った。

そして、ガムテープで口を閉ざした。


「これから、移動する。逃げようとするなよ。
変な行動をしない限り、打たない。
だが、少しでも変な行動をしたら………
わかるな」

「ん――、ん―」


西条は返事をした。


「ウルフよりイーグルへ。
作戦を第二段階に移行する」

『………了解』


俺達はマンションの下に用意した車に移動した。




俺が西条を連れてマンションの玄関前に移動すると、車が一台停まっていた。

俺は後部座席の扉を開け、西条を中に乗せた。

そして、俺も乗った。

扉を閉めると、相棒が車を出した。

標的を拉致して、目的地の空港に送るまでが俺達の任務だ。

しばらく、俺は西条の様子を眺めていると、西条が騒ぎ出した。


「ん―――……ん―――……」


俺はうるさいと思い、西条の口を覆ったガムテープを取った。


「なんだ」

「僕をどうする気だ」

「知るか」


俺はまた西条の口を閉ざそうとした。


「待ってくれ。
静かにしているから………
それに息が苦しい」

「なら、そうしていろ」


俺は面倒になり、そのままの状態にした。


「一つだけ聞かせてくれないか」


西条が聞いてきた。


「俺を連れ去る理由を教えてくれ」

「それは俺にも聞きたい」

「会社の経営で違法を起こした記憶がない。
それに拉致をされる覚えもない」


俺はため息をした。


「何の会社だ」


俺は時間潰しに尋ねた。


「ゲーム会社だよ。
E社って言えば分かるでしょ」

「知らないな」


俺はゲームなんてやらない。

それにゲーム会社なんて知らない。


「そうか。
運転手の方は知ってるでしょ」


西条は調子に乗り出した。

面倒になりそうだが、暇つぶしには丁度いいだろう。