―――95年前

俺は未だに『G』議長隠密部隊に所属していた。

辞めても良かったのだ。

任務や人殺しなどしなくても生きられた。

でも、亡くなれば蘇る繰り返しの中で、一般人との生活は酷だ。

金のために一般人と同様に仕事を行い。

給料を貰う。

やろうと思えば家族だって持つことが出来るだろう。

人並みの暮らしを経験できただろう。

だが、俺には許されないのだ。


『俺と一般人は違う』


人の出会いが星の数ほどあるように、別れも同様に存在する。

例え、家族を持ち子供を授かったとして、俺が先に亡くなっても、俺は蘇り、子供だけがこの世を去り続ける。その後は繰り返しだ。

俺の分身が世の中でどんな人生を歩むかは知らない。

知ろうとも思わない。

けれど、この世を去るのは分身達だ。

俺というご先祖は死ねないのだから………

だから、『G』に所属し続けた。

そこだけが俺の居場所だった。

昔と今の違いは、俺には生きる目的を見失っていることぐらいだ。




この無限に続く時間の中で、色々と考えた。


世界のこと………
『G』のこと………
『W』のこと………
そして、俺自身のこと………


仕事をしたいわけでも、金が欲しいわけでもない。

ただ、誰かが用意した道を言われた通りに歩いていた。

この100年で俺は3度死に、新たな身体と能力を備えて蘇った。

昔の相棒とも決別した。

相棒は決別する際に一言言った。

「今のお前は壊れた玩具だ」と………

言われた通りの仕事を行い。

それ以上は加担しない。

任務の重要性も考えず、獲物だけを殺害する機械人形の例えだろう。