―――マオの自殺から一ヶ月後

『デレーブ』の国で任務を行っていた。

時間は深夜。天気は雨。

俺はビルの影で身を潜めていた。

標的は俺の見張る道路を通る。

いつも通り、標的の乗る車を襲撃して標的を暗殺。

その後は証拠を消して、任務終了となる。

相棒はビルの屋上でライフルを構えている。


『ホークよりウルフへ。
標的を確認した。
これより任務を開始する』

「………」


俺は答えなかった。

しばらくして、銃声音が周囲に響いた。

そして、数人の足音が聞こえた。


『ホークよりウルフへ。
標的に気づかれた。
あとは任せる』

「………」


通信機から相棒の焦り声が聞こえた。


『おい、何している』


俺はその場から動かない。

相棒の指示など、どうでもよかった。

降り続く雨に当たりながら、俺は自分の存在価値を考えていた。

その後、町では銃声音が鳴り響いた。

ビルから撃つ相棒と標的の護衛達だ。




―――数分後

銃声が鳴り終わった。

俺が道路を見ると、殺された数名の男達が寝ていた。

誰も生きていないだろう。

雨が当たり、マンホールに血と雨の混ざった液体が流れている。

俺はただ死体を見つめた。