―――1ヶ月後

俺は任務に着任した。

『辻本ユウジの暗殺』以来の仕事である。

俺と相棒は標的の行動パターンを予測して、待ち伏せをした。

今回は俺の出番はない。

相棒の射撃で標的と護衛を殺害した。

任務を終えて、俺はマオの居るマンションに戻った。




―――愛人のマンション付近

俺はマオにプレゼントを買った。

ただの『花』だ。

帰り道に花屋を通った時に買おうと思った。

ただ、花が美しかったからだ。


『きっとマオも喜ぶだろう』


俺はマオに会うのを楽しみにした。

マンションに近づくにつれ、辺りに人が増えているような気がした。

正面玄関に近づいた時には救急車が来ている。


「なんだ………」


俺は現場に近づくと、周りの野次馬が話していた。


「なんでも、飛び降り自殺だってよ」

「女だってなー。
結構美人な女性だったらしいよ」


野次馬の話を聞き、嫌な予感がした。

俺は現場を囲む野次馬を退けながら、現場へ進んだ。

現場では警察官が防いでいた。

俺は遠くから自殺した女の姿が見えた。


「………マオ」


俺は嘘だと思った。

俺は現場を去り、急いでマオの部屋まで向かった。

部屋には警察官が現場検証をしていた。

俺は警察官に他人のふりをして話しかけた。


「何かあったんですか」

「………」


警察官は答えない。

仕事が忙しいのだろう。

俺は部屋の玄関までしか見ることが出来なかった。




―――3時間後

全ての処理が終わったのだろう。

現場には警察官や野次馬はいない。

ただ、地面に付着した血だけが残っている。

俺は何も言わずにプレゼントの『花』をその場に置いた。