俺はベッドから起きあがり、音のする方を見た。

俺の荷物から鳴っている。

俺は急いで荷物の方へ向かい、荷物から通信機を取りだした。

マオも音に気づいたらしく、キッチンから出てきた。


「もしもし………」


俺はなるべく小さい声で話した。


『こちらホークだ。ウルフか』


相棒からの連絡だった。


「ああ。
………少し待て」


俺は裸であり、部屋にはマオがいた。

俺は相棒との会話を聞かれたくなかった。

そのため、俺はベッドの下に散らばった服を着て、ベランダに向かった。


「仕事………」


マオは俺に聞いてきた。


「ああ。
大事な連絡だから、ベランダを借りる」

「そう、コーヒー入れとくね」


マオはキッチンに戻って行った。

俺はベランダに向かい、再び相棒に連絡した。


「こちらウルフ、仕事か」

『仕事だ』

「今度はどんな仕事だ」

『議長の指令で俺とウルフ、両名は本部の現地時間で明日の0900時までに本部へ帰還。
その後、1000時より行われる議会で証人喚問を受ける』


俺は相棒の連絡をメモした。


「了解した。
俺はこれより『ルートB』で本部に向かい、明日の0900時までに本部へ向かう」

『了解………』


相棒が連絡で何か言いそうに思えた。


「どうした」

『………驚かないんだな』

「ああ。こうなることはわかっていた」

『そうか。それならいい。
以上、交信終了』


相棒は連絡を切った。

俺は通信機を持ち、ベランダから夕陽を眺めた。




『辻本ユウジの暗殺』………
『組織の裏切り』………
『証人喚問』………

やはり、俺達の手に負えないものだった。




俺はベランダから部屋に入ると、マオは座ってコーヒーを飲んでいた。


「終わった………」


マオは俺に尋ねた。


「ああ、またしばらくここを離れる」


「そう………」


俺もマオの横に座り、コーヒーを飲んだ。