―――愛人のマンション

マオと出会ってから3カ月経った。

俺はマンションを買い、プレゼントした。

そして、仕事のないときはいつもここに来た。

あの時、俺は偽名と使い『タツ』と名乗った。

それは今も変わらない。


「ねえ、あなたは何をしている人なの」


マオは俺の腕を枕にしながら聞いてきた。


「ただの会社員だ」


俺は適当に答えた。


「嘘ね」


マオは笑いながら答えた。


「想像で構わない」


俺は何度マオから聞かれても、職業を教えなかった。


「そう………私は構わない。
ただ、悪い事さえしてないなら」

「そうだな」


俺は目を閉じた。




俺が『G』議長隠密部隊を長年携わっているのは、ただの『金』目当てだった。

1カ月に数回、仕事をするだけで『金』を無限に使う事が出来る。

欲しい物なら何でも手に入る。

ただ一つを除いては………




「コーヒー飲む」


マオは俺の方を見て尋ねた。


「ああ」


俺が答えるとマオは起きあがった。


先程まで寝ていたので、俺達は服を着ていない。

俺は横になりながら、マオの後ろ姿を見た。

俺はまた、マオを抱きたくなった。


ピー…ピー………


静かな部屋の片隅で電子音が鳴った。