『G』を守るために仲間に入れた者達が、実は組織の障害になっていたとはな………


「伊藤、待っている間に順番は決めた。
俺とジュリーが先に入る。
その後、ミコトとアキトが二人で入り、最後は伊藤だ」


良い判断だ。
空いた時間を有効に使ってくれたようだ。


「わかった」


俺は了承した。
俺が最後に入るなら、順番はどうでもよかった。


「それじゃあ、先に行く。
現実世界で待っている」


山本は慣れているため、何のためらいもなく、『選択の石』に入っていた。


「待ちなさいよ」


それを追うようにジュリーも入って行った。
二人の姿が扉の中に消えると、アイドはミコトに近づいた。


「『神山ミコト』。
なぜ、君は世界を変えようとした」


鋭い口調でアイドはミコトに尋ねた。


「僕は変えようとはしていない………」


ミコトはアキトを抱え直しながら答えた。


「君には力がある。
別に『C』で無くても良かったんじゃないか。
その力があれば、何だって出来たのに」


アイドは相棒に言った。
『魔王』になると………
これから、アイドの持つ『超越者』としての能力で、自分勝手に世界を生きようとする。
つまり、ミコトとは正反対の生き方をするわけだ。
アイドは聞きたいのかもしれない。
なぜ、それだけの力があるのに、人のいいなりになり続けたのか。


「僕は『C』なんだ。
伊藤に、山本、ナナミに辻本………
皆の力になりたかった。
そのために力を使いたい………
それが世界を変えることになろうとも………」


ミコトの言いたいことがアイドにはわかるのだろうか。
そう考えてしまう。


「つまり、君は他人に従って生きることで自分の存在を示そうとしたのか」


力を持つのだから、自分より下の存在の意見など聞かない。
自分の得とすることしか考えていないアイドにはわからないだろう。