「事前報告をお前だけにする」


現実世界と仮想世界は閉ざすつもりだった。
閉ざせば、仮想世界の住人達から現実世界へ戻ろうとすることを考えないようにしたためだ。


「どうやって」


アイドは聞いてきた。
現在、出入り口は『選択の石』しかない。
つまり、扉が一ヵ所に存在することになる。
『選択の石』が動くということは扉が開くことを仮想世界の住人達に知られることになる。


「未定だ。
だが、必ずお前の目の前に接触者が現れる。
その時は、そいつの話を信じてくれないか」


その接触者は俺達『C』ではない。
俺達の次の世代が引き継ぐことになる。


「いいよ」


俺はアイドから了承を得た。


「ありがとう」


俺は素直に礼を言った。
それ以降、俺は何も話さず、アイドと一緒に空を飛んでいた。
自分が存在し続けようとした世界を眺めながら、自分は『世界を正しい方向に導く』ことが出来たのかを考えながら………