従来、『利害の一致』とは、『儲かるか、儲からないか』を意味している。
それは立場が有利な程、利益が大きくなる。
ようするに、人間関係と肩書きによって、どちらかの利益が大きくなることとなる。
それは仕方の無いことだろう。
自分を第一に考え、得することにしか目を見ない小さな考えに執着した者達がいるためだ。

だが、俺は両者が共にバランスの取れた利益をもたらすることしかしない。
もちろん、それは俺自身で決めた価値感のため、人によってはバランスが合わないと言える。
では、なぜこだわるのか。
それは立場が同じになるためだ。

一方の利益が大きく、もう一方の利益が小さい場合、差が生じる。
ようするに『正』と『負』の取り分を互いに持つこととなる。
問題は『負』だ。
これは『負の連鎖』を起こす。
それが社会に浸透していったため、現代のように『富』と『貧』となる。

俺は『G』として世界を管理していた時、俺には『富』があった。
この状況で『利害の一致』のないことを社会にもたらした場合、それ相当の『貧』をもたらす恐れがあった。
金を無限に使える『富』からの『貧』だ。どれほどの効果をもたらすか。

実際、それは難しいことだ。
生きるためには誰だって上を目指す。
綺麗事を述べているだけだ。
だが、世界の管理者が得してどうなる。




「これから、お前はどうする」


俺は相棒に尋ねた。

「この世界を旅しようと思う」

「旅か………」

「この世界が仮想世界だと知られたとこで『G』は解散するだろう。
今現在は存在するが、もう世界を管理できるレベルではない。
それに管理する意味もなくなったからな」


相棒は『G』が解散する前に、出来る限りの資金を用意した。
その結果、口座に履歴が残った。
相棒は前世で『PC言語解析』能力者として、ハッキング技術を手に入れている。
だが、入金した口座が生前使っていたものだったため、監視させていたアイドに記憶を取り戻した事を確認された。