―――アパート玄関
俺が階段を降りると、子供は待っていた。
アイドは俺の後ろに付いている。


「よう。久しぶりだな。ホーク」


俺は子供に言った。


「ウルフこそな」


相棒は笑みを浮かべた。俺は相棒と向かい合った。


「時間がない。
手短に話すがいいか」

「そうだな。
俺の集めた情報から、そろそろ『選択の石』の扉が閉じるんだろ」

「そう言うことだ。
だが、安心しろ。
俺が現実世界へ戻らない限り、扉は閉まらない」


相棒は俺を睨んだ。


「それなら、こんなところに来るべきではない。
なぜ来た」

「お前も俺達と一緒に現実世界へ戻らないか」

「断る」


相棒は俺の提案を拒否した。


「以前にも話したが、俺はこの世界で死ぬ」


俺は目を逸らした。
ここに来なくてもわかっていた。
相棒はこの世界が気に入っている。
もともと、そんなことを言うために来ていない。
ただ、確認をしただけだ。


「わかった。それなら好きにしろ。
お前に伝えたいことは一つだ。
俺とお前の『設定』は解除された。
つまり、今ある『命』が最後だ。
だから………」

「そうか。約束を果たしてくれたのか」


相棒は笑みを浮かべた。




アイド達が多才能力者の仲間を助ける行動を行った時、俺はミコトと山本、ナオミと共に、『選択の石』に向かっていた。
現場に着き、ミコトが『選択の石』の扉を開け、現実世界へ戻ろうとした時、NO.2:ジュリーが現れたことで、緊急事態になった。
予定通り、山本とナオミは現実世界へ送れたが、問題は『超越者』となったNO.2だ。
ミコトは戦闘を得意としない。
倒しても、倒しても、立ち上がるため、仕方なくNO.2を現実世界へ送った。

山本達が現実世界に送ったことで、俺の目的は終わった。
ナオミは約束通り、俺達の『設定』を解除した。
もともと、『死』を望んでいたため、『設定』解除されたことですぐに死んでも良かった。
だが、それでは俺と世界の『利害の一致』がない。
俺には『死』を………
世界には『成長』を………
俺には『こだわり』があった。

『利害の一致』を大事にすることだ。