「『ギア』の基本能力は『衝撃』だ。
俺は一度、『衝撃』能力者になったことがあったし、アカネも高速戦闘を主体にしたいと考えていた。
だが、高速戦闘を行うには『肉体強化系』でしかできない。
『ドライブシステム』は『物』に能力を与えるものだ。
人間の体を強化することはできない。

そこで、『走る』のではなく『跳躍』による移動法を提案した。
予定通り『衝撃』能力を備えた装備が出来たが………
アカネは満足しなくてな。
『物』に一つの能力が宿るなら他の能力も付けることが可能ではないか。
そう考えたらしい。

俺は反対した。
そしたら、俺に命令しやがった。
『エレクトロニクス社』の担当をヨシトに変えると………
俺は『C』のリーダーだが、肩書は『W』幹部兼管理部部長だ。
アカネには逆らえない立場だ。
仕方なく、『キャンセル』を優先に作らせることと一般市民に『ドライブシステム』を知られないことを約束にした。

それからだ。
『衝撃』能力の他に、『衝撃圧縮』『放出』『障壁』『重力制御』など、俺が経験した『衝撃』能力よりも格段に優れていた物になった。
例えば、使用者への負担が掛らないことや跳躍速度や飛距離が『衝撃』能力者よりも優れている点などだ」


アイドは頭を掻きながら聞いてきた。

「反対した理由は………」

「『粒子』の世界を作らせないためだ」