裏切りの少年

その後、神山博士は亡くなり、ミコトは神山博士の親戚に預けられた。
森下にはミコトを養子にする手続きを済ませていなかったためだ。
神山博士はミコトの口座を作り、3億円を預金した。
親戚はミコトではなく、ミコトの持つ3億円という資産が欲しくて引き取った。

一方、『G』はミコトが生きていることで何度も暗殺をしようとしたが、『W』が阻止した。
ミコト自身は気付いていないようだが、ミコトには護衛が付いていた。
『G』は『W』と関わらないことと、ミコトは死なない人間という2点から暗殺から監視に方向を変えた。
実際、『超越者』の能力が確認されていないため、危険性はないと判断したようだ。

小学四年次の頃、転校してきたミコトと出会い、中学3年次に記憶を取り戻した。
そして、『W』五代目総長のような凶暴さがなく、神山博士は『超越者』の失敗作を作ったと思えた。
だが、ミコトの性格から考えて『才能』が目覚めていないと考察した。
それに、ミコトは腕時計型の『キャンセラー』を常時付けている。
生活の中で、何度も『才能』に目覚めるきっかけはあっただろう。
だが、『キャンセラー』がその反応を『無』にし続けた結果だろう。




「『ドライブシステム』のオリジナルは無くなり、設計図等の資料は神山博士の死で永久に闇の中だ。
残った物は2種類の『キャンセラー』だ。
一つ目が『無能者』用、二つ目が『戦闘』用。前者は改良された『超粒子磁石』を使い、磁石に粒子を集めさせ、（―）粒子を使用者に触れさせない。
更に結合した粒子は『無』空間を作ることで、（―）粒子だけを弾く『障壁』を作る。
後者は前者の改良型。
（―）粒子の吸収率を下げることで使用者の能力使用が可能となった。
『無』空間を一点集中型にすることで能力者対策用武器となる。
この二つの特性を持った『キャンセラー』の商品と製造機だけが『ドライブシステム』を作る手掛かりだ」

「『ドライブシステム』は何のために必要だったの。
神山ミコトがいれば、君達にとっては必要ないと思うけど」