―――神山家別荘
三日後の午前
俺はスズミから教えてもらった道を使い、車で神山家別荘に向かった。
今日、神山博士と会うのは、『超越者』の進行状況の確認と産まれた子供の面倒を見てもらう約束と取り付けるためだ。
そのため、教育費や養育費を事前に準備した。
このお金は『バケモノ退治』で隠しておいた3億のお金を掘り返したものだ。

俺が車から降りて、玄関のインターホンを鳴らすと、スズミが出てきた。
一度会っているため、以前のように扉を閉められることはなかった。


『神山博士に依頼した仕事の進行状況の確認をしたい』


そう言うと、スズミは玄関の扉を開けた。


『ユキヒロさんは研究室に居ます』


スズミは言った。
俺は礼を言いつつ、中に入り、神山博士の研究室へ向かった。
俺は研究室の扉をノックする前に、深呼吸をした。


この世界に来て、600年近く生きているが『神山ユキヒロ』という男は理解できない人間だ。
研究者だから、
知識が多い………
専門分野に特化している………
当然、俺よりも物知りである。
だが、そういう意味ではない。
俺は神山博士が何を考えているのかが、全くわからない。
こういう人間を相手にするのは苦手だ。


俺が扉をノックすると、神山博士が扉を開けた。


「おはようございます」

「柴田さん。おはよう。ずいぶんと早いね」


神山博士は髭を生やし、髪もボサボサだ。
それにサングラスを掛けていた。


「依頼した『超越者』の進行状況の確認に来ました」

「そう。ちょっと待ってて」


そう言うと、神山博士は扉を閉めた。
しばらくして、扉が開いた。


「これ付けておいて。失明するから」


神山博士はサングラスを俺に渡した。
俺は言われた通りにサングラスを付けた。


「さぁ、入って」


神山博士は扉を開けてくれていた。
俺は研究室に入った。