「あれ、大きすぎるんだよ。
ケンイチ君は持ち運びできる『キャンセラー』を作ってほしいっていうんだけどね。
あれが僕のできる最小サイズ。
縦(2m)×横(2m)×高(1m)さ。
小型化するには新しい材料を作らないといけないんだけど、さっぱり思いつかない」

「それなら、『超越者』はどうなんですか」

「あれは以前から依頼はあったけど、ケンイチ君、資金出してくれないんだ。
『超越者』よりも『キャンセラー』を先に作りたいらしい。
大丈夫。
もう『式』は解いている。
井上博士の研究データ『能力学会研究報告書第四百五十七号』と父親の研究していた多才能力者『実験番号:NO.1』の研究データ、『ドライブシステム』。
これらが揃えば作れる」

「でも、資料が………」


俺は辺りを見渡した。
どこにも資料など無い。


「あるさ。僕の頭の中に」


神山博士は自分の頭に指をさした。


「『瞬間記憶』能力。
それが僕の能力だ」