「さぁ、潰して」


俺は動揺しながらも、『握力』能力で石を潰そうとしたが………


「潰れない………どうして」


神山博士は俺の手を離し、装置を操作している。
装置が停まると、石は砕けた。


「馬鹿な………」


俺が動揺していると、神山博士は俺に近づいた。


「これが『ドライブシステム』さ」


俺は神山博士を見た。


『『彼』はこの仮想世界において、危険な男だ』
『彼は『粒子』の世界を作ろうとしている』
『『超越者』を作れるのも『彼』しかいない』


「そう言うことか………」

俺は独り言を言った。


「んっ………どうしたの」


俺が考え事をしていたが、神山博士が話しかけてきた。
神山博士はソファーに横たわっている。


「何しているんですか」

「食後の睡眠でもしようかと」

「依頼した『超越者』は………」

「前金10億円。
それがないと作らないよ」


冗談そうに話した。


「僕、家を吹き飛ばしてから、近隣の方々が損害金や慰謝料などを払えってうるさくて。
面倒だから、和解金という形で解決したいんだけど、その額が10億円なんだ。
面倒な話でしょ。
だから、柴田さんが払わないとやる気が出ない」

「はぁ………
でも、その………
他の研究はしなくていいんですか」

「いいの。
さっきのが『ドライブシステム』なんだけど、ケンイチ君から頼まれているのは、『GDS-00:キャンセラー』っていう『能力無効化装置』。
でも、作れなくてね」

「どうしてですか。
もう完成しているじゃないですか」


俺は装置を指差しながら答えた。