しばらくして、神山博士は立ち止った。


「ここが僕の研究室だ」


神山博士は扉に手が触れる瞬間………


「ユキヒロさん。
ご飯の用意ができました」

「そう」


神山博士はドアから手を離し、俺の方を見た。


「ご飯食べに行こう。
お腹すいたでしょ」


俺は『ドライブシステム』を見たかったが、後からでも見れる。


「はい」

「それじゃあ、行こうか」


俺と神山博士はスズミのいる場所へ向かった。




―――外
俺と神山博士が外に向かうと、スズミは食事の用意をしていた。


「スズミさ~ん。いつもありがとう」


神山博士は調子のよい事を言いながら、席に座った。


「柴田さんもどうぞ」


スズミは俺を席まで誘導した。


「ありがとうございます」


俺は礼を言った。


「さぁ、食べよう。いただきます」


神山博士はそう言うと、スズミが用意したサンドイッチを食べ始めた。


「いただきます」


俺も食べ始めた。


「そういえば、どうして神山博士はここに住んでいるんですか」

「んっ………ちょっとトラブルがあってね」


食べながら、神山博士は答えた。


「『ドライブシステム』の出力実験をしていたら、制御できなくてね。
家が吹っ飛んだ。それだけだよ」


冗談を話しているように思えたが………


「本当ですか」

「うん。まぁ、緊急停止ボタンを押したんだけど、貯め込んだ(―)粒子が多すぎてね。
僕はその場を離れた。
スズミさんは買い物に行っていたからよかったけど。
自宅がなくなり、スズミさんの別荘に居るっていうわけだよ。
でも、ここも居心地がいい。
近隣の方々も来ないしね」