「それが『Infinite Information』か」

「そう言うことだ。
『Infinite Information』はゲームでしかない。
『動画』は『ただのヒント』でしかない。
重要なのは、この世界を見てもらうことだ」

「だが、『Infinite Information』をプレイした者が貴方の言う『勇者』になれるとは思えない」


俺は金本の話と今まで『Infinite Information』をプレイした経験を考慮して言った。


「できるさ。
子供達には可能性がある。
それに、ゲームの中にもヒントを入れた」

「ヒント………
なんだ、それは」


俺は金本に聞いた。


「『最終ボスがいない』それがヒントだ」

「そんなのはヒントでも、なんでもない」


俺は言った。
そんなことなら、俺だってわかることだ。
だから、俺は最終ボスを見つけようとしていた。


「魔王が城にいない。
つまり、ゲームは終わらない。
まだ、続きがある。
そう言う意味を言っているんだが………
やはり、君には理解できないようだ」

「ああ。誰も理解できないと思うぞ」


俺は率直な感想を言った。


「だから、君は攻略できなかったんだ」


金本は自転車のカゴに置いた鞄から『Infinite Information』を出した。


「『Infinite Information』の『勇者』は『魔王』を倒したとする。
その後、『勇者』が救った世界はどうなったんだろう」


金本はソフトを見ながら言った。


「世界を脅かす『魔王』が死んだんだ。
世界は平和になったはずだ」

「本当に………」


金本は俺に問いかけた。


「例えばだ。
他のゲームは『勇者は魔王を倒し、世界は平和になった』で終わる。
続編が出れば、
『実は魔王には弟がいた』、
『実は真の敵は他にいた』、
『実は世界を救っていない』
という話になる。
完成された物語を続けようとするからこのような話になる」

「何が言いたい」


俺は金本に尋ねた。