「なぜ、彼が失敗作だか分かるか。
『体内で作った粒子』と『外の粒子』を使い、能力値を高めることには成功している。
問題は粒子を能力値に変換できない点だ。
変換できないから、突風のように体内から粒子を放出した状態になる」


俺はしばらく、考えた。
あのバケモノが失敗作………
つまり、もし金本の言う能力値100を超える『超越者』が現れた場合、『G』どころか、世界中の人間が戦っても勝てないのではないか。


「さて、話は逸れたが、もし『W』が世界に認められた時、世界はどうなるだろう」


金本は唐突に言った。


「貴方の言う『勉学』が成長することになる」

「そう。
つまり、『W』が世界に認められた時、世界の技術は成長する。
それは人類が大昔、『月』という星に向かったように………
仮想世界の住人も『現実世界』に向かって飛び立つことが出来る」


金本は空を見上げながら言った。


「それが『W』を作った理由か」

「その通りだ。ウルフ君」


金本は笑みを浮かべて答えた。


「だが、果たして、この世界の住人達がそれを認めると思うか」

「そのために、私は『Infinite Information』を作った」

「意味がわからないな」

「君にとって、『Infinite Information』とはなんだ」


金本は俺に聞いてきた。

「この世界が『偽りの世界』だと教えるためだ」


俺は正直に答えた。


「違う。
あれは『ただのゲーム』だ」

「いいや。それこそ違う。
貴方は自分が作った『動画』を忘れているのか」

「君は『Infinite Information』を攻略せずに、私が用意した『映像』を知ったため、そんな考えをすることになったんだ。
あれは『ただのゲーム』でしかない」

「違う」


俺は金本の言うことを否定した。


「だが、事実だ。
私は『ただのゲーム』を作ったにすぎない」


俺は一度深呼吸をした。


「仮にだ。
『ただのゲーム』を攻略して、あの『動画』を見て、そいつはどうなる」

「『勇者』はさらなる冒険へ向かう。
『Xファイル』という未知のデータ―を求めて」