俺は金本を睨みつけた。


「何が言いたい」

「君は『Infinite Information』を解析して、私が用意した『映像』を見たんだろ。
それなのに、その程度しか理解できなかったのか」

「………」


俺は答えなかった。


「だが、それがわからないため、君達は『G』を設立した。
理解できないのも当然なのかもしれないな」


金本は俺に言った。


「それで、君はこの世界から出たいと………」

「ああ」

「君一人のために、扉を開けるわけにはいかない」

「だから、俺も貴方に協力する。
その代わり、この世界からの出方を教えてほしい」

「少し昔話をしてもいいか」


金本は俺に聞いた。


「ああ」


俺は金本に答えた。


「我々、管理側は人々をこの世界………
ここでは仮想世界と言わせてもらうが………
この仮想世界に保存した。
しかし、仮想世界に『バグ』が生じたため、我々は禁じられた仮想世界へのアクセスを試みた。
そして、その素晴らしい世界に心を奪われ、仮想世界を現実世界にしようと考えた。それが『G』だ。
ここまでは君も知っているね」

「ああ」

「確かに、私は君が話したように『Infinite Information』を西条君に渡した。
そして、世界の真実を伝えようとした。
それはなぜだと思う」


金本は俺に聞いた。


「それは、この世界が『偽りの世界』だと教えるためだ」

「それではなぜ、『偽りの世界』だと教える必要がある」

「それは………」


俺は考えた。
確かに、教える必要はないのかもしれない。
この世界の人間はAIだ。
実在しない人物達がこの世界に生きている。
つまり、現実世界で寝ている人間の思考が形成した一種の幻の人間達だ。
彼らに教えても、現実世界には行けない。
むしろ、この世界にとどまるしか、生きる方法がない。


「君はこの仮想世界に生きる人々が、実在しない人間達だと………
本当にそう思っているのか」


金本は言った。


「まさか………生きていると」

「そのとおりだ」

「だが、それでは人数が合わない」


俺は金本に言った。