一瞬、俺は男に殺意を向けた。
今までの行動、すべてを否定されたように感じたからだ。


「だが、これは必然なのかもしれないな」


男は銃を降ろし、鞄に閉まった。
そして、自転車から降りた。


「………どういうことだ」


俺は男に聞いた。


「少しルール違反だが、いいだろう。
それで君は私から何を聞きたい」

「全てだ」

「全て………」

「ああ。
貴方のこと、『W』のこと、『Infinite Information』のこと………
そして、貴方が何をしようとしているのかを………」

「私のことか………
それなら、私も君の事が知りたい」


俺は深呼吸をして、しばらく落ち着いてから話した。


「俺はウルフだ」

「ウルフ………
そうか。君が………」

「どうした。何か問題でもあるのか」


俺は男に聞いた。


「やはり、必然か………」


そう言うと、男はかぶっていた麦わら帽子を取りながら話した。


「私の名前は金本ユウジ」

「ユウジ………まさか」


男は麦わら帽子と取り去ると、今まで穏やかだった目つきが鋭くなっていた。


「そう。
私は君に殺された『辻本ユウジ』だ」