俺は男が自転車に乗った瞬間、男の目の前まで移動した。


「ちょっと待て」


俺は男に言った。
男は俺の方を見ると、何かを思い出したかのような表情をした。


「すまなかった。
君にもあげるよ。ほら」


音はカゴに手を入れ、何かを取りだした。
俺は受け取った。
それは『Infinite Information』だった。


「君ならクリアーできる。
それじゃあね」


男は立ち塞がる俺を避けるように自転車を漕いだ。


「『Xファイル』………
それはどこにあるんだろうな」


俺は男に言った。
男は自転車を止め、俺の方を見た。


「俺の予想では『W』にある」

「………君は」

「貴方をずっと探していました」


男はしばらく、考えていた。


「君はゲームをクリア―したのか」

「いいや。
俺は『Infinite Information』を解析しただけだ」

「そうか。それでは意味がない」


男は再び自転車を漕ぎだした。


「『G』を裏切り、あなたは何をしようとしているんだ」


俺は男に言うと、男は再び止まった。
だが、今度は話すためではなさそうだ。


「君は『G』か」

俺は頷いた。
すると、男は驚いたような表情になった。
そして、籠から銃を取り出し、自分のコメカミに銃口を向けた。


「待て。
俺もお前と同じ『G』の裏切り者だ」


俺は叫んだ。


「………」


男は俺の方を見た。


「俺は貴方の手伝いがしたい。
だから、馬鹿なマネは止めてくれ」


俺は自分に銃口を向けた男を説得した。


「それで、君は何がほしい」


男は唐突に聞いた。


「『死』だ」

「つまり、『死にたい』というわけか」


俺は頷いた。


「くだらない。
そんなことのために、私を探していたのか」