裏切りの少年

「関係………例えば」


俺はアユミの方を見た。


「いえ、あくまでも私の考えですけど～、
もしかしたら『Infinite Information』の最終ボスは世界のどこかにいる………
それを『W』と共に見つけ、倒す。
そういう意味だと思います」

「ほぅ………面白い意見ですね」


俺は笑みを浮かべながら答えた。


「そうですか」


俺はノートを閉じ、アユミの方を見た。


「ありがとうございます。
アユミさんのおかげで素晴らしいものが書けます」


アユミは笑みを浮かべた。
俺は鞄から用意しておいた封筒を取り出した。


「どうぞ。受け取ってください」


アユミは封筒を受けとり、中身を確認した。


「こんなに………」


その封筒には10万円入れてある。


「いいんですか」


アユミは本当に受け取っていい物なのかを尋ねた。


「いいんです。
その代わり、このことは他言しないでください。
今日、私とアユミさんは会っていない。
アユミさんは一人でここに来て、一人で食事をして、一人で店を出た。
そういうことにしておいてください」


俺は鞄の中に、ノートとPCを入れながら言った。


「わかりました」


アユミは何の迷いもない様子で答えた。


「それでは、先に失礼します」


俺は立ち上がった。


「本、楽しみにしています」


アユミが俺に言った。
俺は伝票を持ってその場を離れた。