標的は俺の方を見た。
俺はその場を離れようと思い、右足を引いたが、バランスを崩し、尻もちをついた。
俺は視線を自分の足に向けると、足は痙攣を起こしていた。
『衝撃』能力を最大に使ったのだ。
逃げるための力などあるはずがない。


俺は殺されると思った。
俺は持っていたナイフを取り出し、『衝撃』能力で強化された斬撃で標的を攻撃した。
しかし、標的にはかすり傷一つ付かない。


『『A3』援護する』


相棒の声が通信機を通して流れた。

突然、標的の身体を何かが辺り、弾かれている様子が見えた。
俺が飛んできた方向を見ると、相棒はライフルを構え、標的に照準を定めている。


だが、標的………バケモノには効果が見られない。
標的は視線を相棒の方に向けた。
一瞬の出来事だった。
今まで俺の目の前にいた標的は相棒の方へ移動した。
相棒は近づく標的に何度もライフルを発砲させた。
しかし、動きを止めることができない。


「ホーク………」


俺は叫んだ。相棒はライフルを降ろした。
相棒と標的の間隔が狭まる間、少しだけ時間が合った。
相棒は俺の方を見て、口を動かした。


(すまない………)


相棒は通信機を使わずに話したため、声は聞こえなかった。
だが、口の動き、顔の表情から相棒の言葉が伝わった。
標的は相棒の胸を殴った。
その衝撃で相棒は遠くの方へ吹き飛び、やがて木に衝突した。


標的は自分で飛ばした相棒になおも近づき、倒れた相棒を持ち上げ、俺の方へ投げた。
相棒の身体は勢いよく飛ばされ、俺の目の前に飛ばされた。
相棒を見ると、相棒は呼吸をしていない。
相棒はバケモノの餌食となった。


「くそっ………」


俺は標的を見た。
標的も俺の方を見ていた。
次の獲物はお前だ。
そう、バケモノは言っているようだ。