幹部候補………

すなわち、誰よりも先にその場所を抜けて『過激派』の幹部となる

『W』にとっては、幹部の仕事を外部のスパイに任せないために日々の行動を監視する。

数か月、あるいは数年間の様子を見るのだろう。

更に、規則を守る人間かを見ているのだろう。


「………なるほどな」


俺はある程度納得した。


「お前が無口なのは、邪魔者を無くすためか」

「………」


山口は答えない。

俺の聞きたいことは終わった。

俺は相棒に車を停めるように指示を出そうとした。

俺が正面を見ると、バックミラーから俺達を見ていた。

相棒は俺の視線に気づき、目を逸らした。

俺はある程度の不快感を持った。


「車を停めろ」


俺は相棒に指示を出した。車が停まり、山口を外に出した。




―――河原
外に降りると、場所は河原だった。

山口と話している間に町から出たらしい。

山口はある程度落ち着いていた。

悟ったのだろう。

ここで死ぬことになると………


「お前に良いことを教えてやる。
明後日0200時より井上研究所は襲撃を受ける。
その時、もしかしたら、お前の敵討ちが現れるかもな」


突然、山口が暴れ出した。俺は銃口を空に向け、撃った。

その音で山口は動かなくなった。


「話を最後まで聞け」


俺は怒鳴った。


「お前は立場上、もう研究所に戻れない。
今まで築き上げた物は全て失ったわけだ」


俺は銃口を山口に向けた。


「お前は今ここで俺に殺されるか。
明後日、敵討ちと戦い死ぬか。
どっちがいい」