俺が連絡を切ると、俺の前に五十嵐の護衛が道を塞いだ。

俺は通信機を仕舞い、護衛の男達を睨んだ。

五十嵐を護衛する男達のリーダーが俺に話しかけた。


「五十嵐さんを守ってくれてありがとう」

「ああ」

「疲れているだろう。我々と一緒に警察本部に来てくれ」


俺はしばらく沈黙した。


「君の手当ても必要だ」


リーダーが俺の肩に触れようとしたとき、俺は能力を使いながら手で弾いた。

手は勢いよく俺から離れた。


「ぐっ………総員その男を捕えろ」


リーダーの指示で10人が一斉に襲ってきた。

俺は左手を横に振り、風を起こした。

その風に乗って護衛の男達は10mほど飛んだ。

俺はナイフで鋭い風を作り、護衛を攻撃した。

護衛は切りつけられ、地面でもがいている。




警察とは厄介な存在だ。
自分達の都合で人を敵にも味方にもする。
国民を守ると言いながらも、法を守ることしか考えない。
自分達が正義だと信じ、害となる存在は消そうとする。
今だってそうだ。
五十嵐を守る仕事よりも俺を捕まえようとする。
『一般人に助けられた』
そんなことを上司に連絡できるわけがない。
わかっているさ。
戦いを見ることしかできなかった自分達に失望し、国民との上下関係を崩してしまった状況下で、何かしらの行動を示したいのだと。