私は太一を見た後、父親を見た。



合「悪いがアンソニー。百合亜は引退したんだ。だから、お前の母親を助ける為に、俺が一緒に行くから帰ろう」



父親がアンソニーを立ち上がらせ、部屋の外で待つ組員に車まで連れて行くように指示をした。



一「あいつ、何かあったのか」



合「アンソニーの母親が、敵対するマフィアに拐われてな」



父親はソファーに座り、「まぁ、忘れてくれ」と言う。

父親が行くなら、私の出番はないだろうけど、健一が生まれて情が脆くなったせいでか、心が揺れた。

行きたくはないが、行かなきゃいけない気に晒される。