光に透けた茶色の髪が眩しい位綺麗で、廉はあたしを見つけると驚きもしないで緩く笑う。 「そんなに会いたかったー?」 「なわけないでしょ」 「茜ちゃんってば照れ屋さん☆」 「ふざけないでよ」 そのまま廉を無視して階段を上る。横切れば、微かに煙草と香水の匂いがした。 廉の顔なんて見ない。 それ以上、会話もしない。 そのまま無視して、 通り過ぎる。 …その筈だったのに。