桜ほど、梓紗の心に、記憶に 焼き付いている花はないだろう。 しかも、自分は『桜花の巫女』だ。 その事実は今も変わらない。 力を使おうと思えば使える。 だが、現代に帰って来て使わないと決心した。 あの髪、瞳、装束はいつまでも慣れないだろう。 否、慣れたくないのかもしれない。 人の生死の理に反するしね。 でも、『桜花の巫女』だってコトは誇りにすると思う。 あたしと紗雪をつなぐ大切なものだから。