何、隠したんだろう?

「弁当食おう」

伸ばした私の手から逃げるように、ベッドに腰を下ろしていたお兄ちゃんが立ち上がる。

そして、お弁当が乗せてあるテーブルごとベッドの横に引き寄せた。

「食えるか?」

食べたいけど、起き上がると頭がクラクラして座るなんて無理。

頭を抱えて、すごすごとベッドに戻った。

「仕方ないな」

お兄ちゃんはお弁当をひとつ開けると、お箸に卵焼きを挟み、私の口元まで持って来た。

私はびっくりしてお兄ちゃんを見た。

「どうした?食べるのも無理か?」

私は首を振り、口をあーんと開けた。

それからお兄ちゃんは自分のお弁当箱も開け、卵焼きを出すとまた口元に運んでくれた。

嬉しくて涙が出そうになる。

お兄ちゃん……

私が卵焼き大好物なの、覚えててくれたんだ。

ご飯を食べて、私が薬を飲むのを見届けるとお兄ちゃんは「風呂に入るから」と席を立った。

薬が効いて来たのか少し楽になったような気がする。

トイレにも行きたくなったし……

ふらつく体を支えるようにしながら、ベッドから起き上がる。

トイレから戻ると、まだお兄ちゃんはお風呂みたいでシャワーの音が聞こえる。

ベッドに戻ろうとして、お兄ちゃんの上着が目に入った。

さっき、何を隠してたんだろう。

そぉっとお兄ちゃんのポケットに手を入れ、箱を取り出した。

可愛いちっちゃな箱。

何も書いてないや。

箱の蓋を開け、手にしてみて、それがなんなのかが分かり、冷や汗が出る。

すると、その時、お兄ちゃんがお風呂から上がる音がした。

ヤバイ!
慌てて中にある2つのモノを箱に戻そうとして、箱がグチャグチャになる。

お兄ちゃんのポケットに戻そう。

ううん。
だめ!!
こんなのお兄ちゃんに持ってて欲しくない。

お兄ちゃんに内緒でゴミ箱に捨てようとした時、お風呂の扉が開いた。