「いつかくじらの背中に乗ってみたいなぁ」 僕は海を見ながらそう言った。 お母さんは何故か悲しい顔をして、 また笑った。 「じゃあ、一緒に会いに行こうか。クジラさんに」 「え?そんなこと出来るの?」 「お母さんと一緒なら ……大丈夫よ」 お母さんは僕の手をギュッと握って、立ち上がった。 下が見えた。 ここはとっても高いところだって事がわかって、 足が震えた。 ここは、崖だった。