どうしてだろう。 どうして俺は、何も言えないのだろう…。 「家に行こうか?」 そんな7文字でさえ言葉にできない俺は弱い。 弥生が熱を出したのも知ってた。 弥生の家の隣の人にあったからだ。 「あぁ、君。弥生ちゃんなら熱を出して寝てるよ。お見舞いかい?」 と、弥生の家のインターホンを押そうとしたとき、声をかけられた。 優しそうなおじいさんだ。 きっと弥生の母親に何かあったら、とお願いされたのだろう。