「…聖治はいつも落書きすんなって止めてくれてたっけ…。」 乗り悪ーいなんて二人に言われながらも、 やめろよ、弥生がノート取れないだろ、と注意していた。 「弥生ーっ、もう出なきゃ間に合わないんじゃないのー?」 お母さんの声を聞いて、あたしは、 「行ってきますっ!」 と今までにないくらいきちんと挨拶して出た。 「弥生、あとで行くからね、卒業式」 「えっ…仕事は!?」 前にも言ったけれど家は母子家庭だ。 母一人、子一人。