君に嘘を捧げよう


1つは、カイが本気だとわかったから。

そして、もう1つは…。

「タクト」

気づくとアヤネが不安そうにこちらをのぞいている。

「大丈夫?顔色悪いよ?」

「ん?だいじょぶ」

アヤネを不安にさせてはいけない。とっさにそう思った。

「そっか!よかった」

アヤネが嬉しそうに笑った。

「アヤネちゃんっ今度どっかさあ…」

「遠藤くん!」

カイがまたアヤネに抱きつく。その勇気がうらやましい。

「おいカイ…」

俺は2人を離れさせようとする。

でも。

「……!」

カイがものすごい形相でにらんできた。